2025/06/01

温泉ひとりたび日記 第7回「飛騨古川」2025.5.19-20 (中編)

 こんにちは。ナッツとココです。今回も岐阜 飛騨古川の続きだよ。フォトギャラリーの写真の枚数を見てもわかるけど、大分テンション上がってるね。八ツ三館は単に歴史がある建物っていうだけじゃなくて、客をもてなす雰囲気づくり・演出がご主人の感性にストライクってことだね。まあ、5時間近くかけて来たんだから、その甲斐がなくっちゃね、ご主人💕

 フォトギャラリー「八ツ三館」「まちなか散策」と合わせて読んでね。

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温泉ひとり旅 

第7回「飛騨古川」(中編)

 八ツ三館の門をくぐり玄関に入ると、大きな一枚板に八ツ三館の文字。その横には五月らしく、三段飾りの武者人形。緑の敷布?が玄関の雰囲気に合っている。そして、なんと着物姿の若い仲居さんが二人、正座してにこやかに迎えてくれた。
 「おあがりください」と案内されて靴を脱いでスリッパを、、、あれっ、見当たらない。すぐに合点がいった。上がり框を跨いだら畳なのである。なるほど、見える範囲は廊下もすべて畳(敷物?)である。後で知ったが、冬は床暖だそう。

 チェックイン待ちのため通されたのはフロントの斜向かいの「月の間」。純和風のラウンジである。部屋には他には誰もいない。どこに座ろうか迷ったが、大きな切り株のテーブルがよさげ。ほどなく仲居さんさんが抹茶とお菓子を運んできてくれた。一服したところでタブレットを使ってチェックイン完了。


 仲居さんの先導で、風呂場、食事処などを一巡。まるで迷路。酔っぱらわなくても迷子になりそう。ちなみに八ツ三館の建屋のうち、登録文化財になっているのは大広間棟と本館及び土蔵の3棟。   

 大広間棟は1階に現在の玄関・フロントや月の間等があり、2階に大広間がある。本館は今回宿泊する招月楼だ。1階が旧玄関で、2階が客室。映画「あゝ野麦峠」の舞台にもなった建物だ。その2棟の間に土蔵がある。
 なのでフロントから招月楼までの廊下が土蔵の大きさの分長い。だが、いたるところに配置されたレトロな調度品や壁の装飾など非日常的な空間に気分が高揚し、距離を感じさせない。むしろ博物館の様でおもしろい。廊下横のトイレの中までレトロ調だったりする。

 長い廊下を抜けると本館・招月楼の旧玄関に出る。
 入口のたたきからそのまま囲炉裏のある畳の広間に上がれるようになっている。昔の商家はさもありなんといった造りである。脇役の置物や壁の書、柱にかかった丸い古時計もいい味を出している。
 となりの小部屋には映画「あゝ野麦峠」にまつわる資料なども展示されている。映画は見たことがあったかどうか定かではないが、タイトルと「女工哀史」という切ない言葉のイメージはセットで頭の中に残っている。

 次はいよいよ客室のある2階だ。1階から天窓の屋根まで吹き抜けになっているので明るく開放的だ。広間の隅に階段がある。階段のすり減った踏板が経た年月の長さを物語っている。階段を上ってすぐの2階の廊下から1階の旧玄関の広間が見渡せる。いい趣向だ。

 さて、自分の部屋はどこだろう。期待が高まる。今回の予約では、招月楼を指定したが、どの部屋になるかはお任せだ。客室の扉の上には七福神の名と小さな面がついている。案内の仲居さんはズンズン進む。「毘沙門」、「布袋」、「大黒」を通り過ぎ、どうやら一番奥の部屋らしい。ということは「恵比寿」だ。

 扉を開けて仲居さんが部屋を簡単に説明。なんと襖には山岡鉄舟などの古文書(もちろん本物)が装飾として貼られている。そっち方面には審美眼も興味も持ち合わせていないので、とりあえず「へーッ」と唸るのみ。広縁の椅子に座ると、窓からは向かいの荒城川を挟んで本光寺が望める。
 さらにこの部屋には小上がりの小部屋がついている。しかも囲炉裏もある。使い方は自由だが、「囲炉裏端で静かにお酒を飲むのもいいですよ」と仲居さん。ちなみに昔は布団部屋だったらしい。結局この小部屋は使わなかったけどね。おひとり様だから本間だけで十分。

 仲居さんが出て行くのを待って、とりあえずビールだ。今回買ってきたのはアサヒのTHE BITTER-IST(ザ・ビタリスト)。黒ビールだと勘違いして買ったのだが、うれしい誤算で、なかなか美味い。名前の通り、苦みが効いていて、キリっと爽快という感じ。もう1本の赤ラベルは最近の定番SPRING VALLEY。ビールと共にしばし部屋の雰囲気を楽しむ。なお、この部屋は音でも楽しませてくれる。一歩一歩に床(畳)が軋み、建物の歴史の音を奏でてくれるのだ。文化財の宿はいくつか訪れているが、ここまでのは初めてである。楽しい(笑)。
(館内の様子はフォトギャラリー「八ツ三館」参照)

 時刻は16時半。夕食は18時にお願いしたから、そろそろ、風呂に行った方がいい時間だ。ちなみに、この宿には自家泉源はなく、流葉温泉からの運び湯とのことだ。とはいえ、温泉であることにかわりはない。
 お風呂は「せせらぎの湯」なる露天風呂付大浴場が二つ。時間制で男女入れ替えだ。加えて「おしどりの湯」という貸切風呂も二つ。貸切予約が入っていない時間は自由に利用できる。ただし男女別で入れ替えなし。なので入れるのは全部で三つだ。

 それでは、風呂へ行く支度だ。部屋に用意されている浴衣は二組。仲居さんが「一組は着替え用です」と言っていた。気が利いている。いつも風呂上りは汗をかいたりするので、部屋に戻るとTシャツなどに着替えて浴衣を干したりしていた。

 まずは「せせらぎの湯」。階段を下りてフロントの前を曲がって大広間棟の一番奥にある。遠い。階段も浴衣だと降りにくい。実は、招月楼にはエレベーターもある。その方が近くもある。でも折角なので階段利用の一択。

 廊下の調度品などを覗きながら「せせらぎの湯」の前に到着。男湯と書かれた青い暖簾をくぐって浴室へ。
 先客はいない様子。浴槽はタイル貼りで四角を基本とした変則的な形。木の柱や梁が装飾を兼ねて和的な空間を演出している。ジャグジーになっている一角でどっぷり浸かって寛ぐ。久しぶりの温泉独り占めだ。サイコ―。定番を数曲ガナってから硝子戸をあけて庭園露天へ移動。石を基調とした庭と東屋。小さいが、こちらも凝っている。空が青く、空気がさわやか。癒される。
 釜風呂もあるが現在修理中となっている。残念。
 
 「せせらぎの湯」に来る途中に貸切用の「おしどりの湯」がある。さっきは空いていた。まだ17時を少し過ぎたところ。空いていたら入ろうと考えながら、湯から上がって身体を冷ます。汗がひいたところで、浴衣を着直して廊下を戻る。
 よかった。貸切の札は出ていない。青い暖簾の扉を開けて覗き込む。こちらも誰もいない。
 コンパクトな浴槽だが、「寝湯」ができるようになっている。他に誰もいないから憚ることはない。仰向けに寝そべってちょーリラックス。湯温も適度。まさに極楽。誰も入ってくる気配がないからしばし堪能。
 夕食の時間を考えると、そろそろ上がって部屋に戻るころあいか。お風呂は満足満足。


    つづく

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部屋も館内の雰囲気も、そしてお風呂も満足のようだね。このあとは今日のクライマックスの夕食とお酒の時間。なんたって料亭旅館だからね💖
つづきは「後編」なんだけど、忘れないうちに早く書かないとね、ご主人💕

👀画像の引用元:  11、12、13番目は「八ツ三」公式HP

             


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