2026/03/02

温泉ひとりたび日記 第13回 「天見温泉 南天苑」2026.2. 19 - 20 (中編)

  こんにちは。ナッツとココです。

 今回の旅は歴宿(文化財の宿)の2連泊。大阪 河内長野の天見温泉「南天苑」と岐阜養老の「千歳楼」。 

 この第13回では一泊目の「南天苑」のお話をしてる。前編では宿に行く前に寄った富田林寺内町散策とそこに行くまでの「迷い道クネクネ~♬」の話だった。中編ではいよいよ本題の「南天苑」。辰野金吾の設計なんだって。楽しみだね。

 それでは、とにかく、ご主人の日記を読んでみよう💗

 * * *    * * *  


大阪 天見温泉 「南天苑」(中編)
~辰野金吾 設計の宿 天見温泉「南天苑」~

 富田林寺内町の散策を終えて14時半。天見温泉「南天苑」に向かう。
 南天苑があるのは河内長野。富田林の隣の街だ。

 ちょっと道(曲がり角)を間違えたりしたが、概ね予定通り15時半ちょっと前に到着。
 よかったーッ(笑)



 さて、南天苑はあの辰野金吾の設計した宿として有名だ。
 ちなみに辰野金吾は東京駅や日銀本店など主に西洋建築を設計した日本を代表する建築家。現存の和風建築は3例のみで希少。特に奈良ホテルが有名だが南天苑もその一つ。

 南天苑の現在までの歩みはちょっと複雑。
 元は堺の温浴施設「潮湯(うしおゆ)別館 家族湯」として辰野金吾が本館(大浴場)と一体的に設計したものらしい。下の写真を見ると建物の外観と位置関係がわかる。

堺市立図書館HPより
潮湯本館(中央)と別館家族湯(右)

 本館は左右シンメトリーの洋風で、いかにも辰野建築って意匠。カッコいい。そしてその右側。正面から見ると本館にちょっと被るように和風の別館(今の南天苑)が配置されている。

 それにしても「個々にはそれぞれカッコいい建物だけど、全く趣の異なる洋風と和風の建物を、被るほど近くに並べた彼の真意や如何に」と思わなくもない感じだけどね。

 それは置いておいて、当時はこの一帯には「潮湯」の他にも水族館もあり、南海電鉄の肝煎りの一大レジャーランドだったらしい。ところがあの室戸台風に被災して本館も別館も壊滅してしまった。

堺市立図書館HPより
南海電鉄の「大浜汐湯堺水族館」案内図
左側が潮湯、右が水族館

 その後、天見を温泉郷に仕立てる計画をした南海電鉄が、倒壊した「潮湯別館」をこの地に温泉旅館として移築改修。「松虫花壇別館」の名で開業したがやがて戦争の影響で閉業。

 しばらくの空白期間ののち、現店主の先代が、辰野金吾の設計の建物であることなどは全く知らず譲り受けて開業したのが「南天苑」。貴重な建物とは思わぬゆえに、先代は古めかしく見える内装を部分的にリニューアルしてしまったのだ。


 そうした経緯が判明したのは現店主と女将(二代目)が先代から引き継いだ後のこと。幸い先代のリニューアルは古い壁などを化粧板などで覆い隠す簡易なものであったため、専門家と相談し、なんとか復元し、現在に至る。

 以上、なかなか大変な経歴を持つ建物なのである(我は現女将さん出演のTV番組のビデオが宿のHPに添付されていたのでそれを見て知った)。

 という訳で、現在の建物の内部は南海電鉄が元家族風呂(複数の個室風呂)であったものを、旅館の客室に改修しているが、外観や躯体は辰野金吾の設計意匠が元に近い姿で復元されている(と文化庁が認めている)。

 内装については元の意匠がどの程度残っているのか不明だが、風呂からの転用の事例としてそれはそれで面白そうだ。


南天苑 赤い橋を渡って玄関に向かう
趣がある構えで、期待できそう

早速チェックイン

館内図 南天苑HPより

 さて、現在に戻る。玄関でスリッパに履き替え、囲炉裏の部屋の前から廊下を左奥に数メートル進む。

仲居さんに案内されたのは1階「東雲」(左)
右が「六歌仙」

 上の写真の正面の暖簾までが本館。文化財の建物だ。暖簾の奥には移設後に増築された共同洗面・トイレ・大浴場などがある。1階の「東雲(しののめ)」などにはトイレや洗面は付いていないので近くてありがたい。

 「東雲」の部屋に一度入ったものの、「あれっ、電話で六歌仙が第一希望みたいな話しなかったけ?」。そんな我のトボケタ問いに「お客さんは建築が趣味とのことだったので、数寄屋の意匠のイイ方の部屋にしました。」との、まるで用意していたような仲居さんの間髪ナシの返事。 

 後から女将さんにも話を伺ったが、辰野金吾の建築好きの客も多く、基本的にそういう客にはそういう対応をしてくれているらしい。いい宿だ。

 ちなみに今回はお得な「お一人様用プラン」で宿にダイレクトに予約。部屋は本館1階の洗面・トイレなしの6畳間。3,4室ある部屋のどれかで、指定はできないことになっている。どの部屋になっても文化財の建物の部屋だし、お得な分、希望がかなわなくても文句は言えないのだ。

 ネット予約を入れたら、直後に宿から確認の電話をいただいたので、その折にダメモトで、文化財の建築が趣味なことと、ネットで見た限り良さげな六歌仙か東雲が希望といったことを伝えてあった。

 宿の対応を疑うわけではないが、そこはオタク根性。実際に六歌仙の部屋がどうなのか気になる。案内の仲居さんに、向かいの「六歌仙」を見せてもらえるか聞いたところ、今ならOKとのこと。ということで、「六歌仙」をチラリと覗かせていただく。

「六歌仙」の床の間
広縁

 なるほど、ナットク。こっちも悪くはないけど、さっきちょっと入って見た「東雲」の方がイイ感じだ。宿の対応に偽りナシ。我の趣味を理解していただき感謝。では、仕切り直して「東雲」へ。


ダイレクトに本間じゃないのはイイ

踏込みの角窓の装飾
オシャレかも

次の間2畳でワンクッション
次の間の障子 
この向こうは廊下
実は廊下側に仕掛けがあるのだが
それは後のお楽しみ

室内をキョロキョロしてたら
若い仲居のお姉さんに
「お茶を淹れますから座ってくださいね」
と窘められてしまった(笑)

茶菓子は甘い羊羹と柚餅子の中間⁉
みたいな感じ よくわからん(笑)

仲居さんが口上し終えて退室したら
室内キョロキョロ再開

本間6畳 いわゆる数寄屋風
それなりに趣あり
広くはないが、広縁と次の間もあるので
狭さも感じない

何と言っても庭に出られる広縁がある。
しかも、この庭は塀で隣りと仕切られてる。
「東雲」専用。プライベートガーデンなのだ。
うれしいサプライズ

角部屋だから開口部も2か所
でもこっちの窓の眺めは風呂の壁のみ

 風呂と言えば、昔の家族風呂の様子と現在の建物とを比較する面白い資料があったので拝借する。
南天苑HPより
家族風呂だったころの中の配置・様子が伺える

こっちは1階(図の下半分)も写っている。
赤丸が「東雲」の部屋(嬉)。
矢印は玄関。緑がフロント。
青は広間だ。当時は遊技場(ビリヤード⁉)
だったことが分かる。

東雲の天井の一部は屋根裏化粧天井
スキな意匠

 どこを見ても、これが元家族風呂の個室とは思えないほどな造りだ。

とりあえず、「東雲」の観察終わり。


 それでは明るいうちに外に出て、辰野金吾作「南天苑」外観の観察&撮影会だ。

橋の袂には宿の名の由来となった赤い南天


右方向に移動しながらパシャリ
1階広間と2階「四方山」


なかなかカッコいい構図

以下、反時計回りで右側面へ

冬だから樹木に邪魔されず見れる

昔の「潮湯別館」当時の写真に
近い特徴的な大屋根

こっちにも赤い欄干の橋

イイ感じに映えるアングル

なので連続パシャリ
もう一枚パシャリ

赤い橋を渡って、、、

裏手へ

これは本館裏口
写真は撮っていないが、
背後の方向に離れの「清流亭」がある

右に進んで見上げた本館2階

さらに反時計回りに表側へ

正面玄関に戻る

玄関をズームで
玄関横の囲炉裏の部屋の格子窓

玄関軒の屋根裏天井

玄関から外の眺め

ここから中に入って館内探索に移行

まず囲炉裏の部屋

東雲・六歌仙の前を通り過ぎて
暖簾手前の右に階段

上ってみる

2階廊下に到着

廊下途中(真ん中あたり)の階段
下りるとフロントへ付近。
この壁(左)の装飾も引き継いだ当初は
化粧板で覆ってあったらしい

こっちは突き当たりの階段
竹を上手く使っている
これを下りて広間の前に出る

階段下りてフロントに向かって進む
写真は廊下・玄関の網代天井

以上で館内探索終了

東雲の部屋に戻る

東雲の広縁

天井は屋根裏化粧板天井

いい感じの広縁
ガラスには歪みも入っている(嬉)

窓を開けて、、、

庭に出てみる

グルリと塀に囲まれていて
この庭を完全に独占

でも2階の部屋が見えるってことは
向こうからも見えるってことだけどね

満足。でも寒いので部屋に戻る


 時刻は16時半。そろそろ温泉行こうかな。 次の間で浴衣に着替えていざ、、、

 その前にスマホを持って次の間から本間をパシャリ

意味なく床間もパシャリ

廊下へ出て暖簾をくぐって男湯へ

脱衣所の掲示


やったー♪

独泉‼

ポカポカになったところで東雲に戻り

一服、一杯

来る途中のセブンに寄ったが
お気に入りビールがなくて
缶チューハイに変更

 チューハイ飲んでのんびりしていると、若いお兄さんスタッフが来て、空いている2階の部屋を案内してくれるそう。実は、チェックインのときにお願いしていたのだ。

 まずは「登鯉」。



和室8畳、トイレ・洗面なし

やはり2階の部屋は高欄がイイ感じ

 本当は2階の8畳くらいでトイレ洗面付きの部屋が良かったんだけど、この宿の料金体系では一人で泊る場合でも2人として予約(2人分の料金)が必要になるそう。さすがに料理代が無駄になるのでやめた次第。
 でも、あまり期待していなかった「東雲」がイイ部屋だったので結果オーライだ。


次は「花櫓」。
 この部屋だけは2階で唯一、お一人様でも一人分の(東雲と同じ)料金で泊れる。なぜなら本間4.5畳。とっても狭いのだ。角部屋で開放感はあるから、意外に快適かもだけどね。

「花櫓」の本間4畳半。布団敷ける⁉

続いて真逆の広さ。「四方山」。


 この部屋は本間12畳と次の間4.5畳。広縁もある。トイレ・洗面付き。角部屋で眺めも良く悪くはない部屋だけど、意匠が淡泊なので広さが際立つ。宴会用広間って感じの部屋だ。

 ちなみに、これまでの経験で、本間10畳くらいの部屋(次の間と合わせて16畳とか)なら一人でも落ち付ける部屋が多かった。多分、意匠のせい。



 さすがにこの部屋は本間だけで12畳。しかも広縁との間には仕切れる障子も襖もないから実質なんと15畳の広さだ。興味を引く造作(意匠)もあまりないようだから、おひとり様には広すぎで寂しいかも。


 以上、2階の部屋見学終了。ありがとうございました。

 ちなみに8畳くらいでトイレ洗面付きの部屋はお客さんがいて見学できなかった。(残念)
 でも翌朝、女将さんが1階の一番人気の部屋「泉灘」を案内してくれた。その件は後に。

 さて、時刻は17時半を回ったところ。そろそろ薄暮の時間。再度外に出て外観を楽しむことにする。

まだ、ちょっと明るいけど


悪くない趣

今回も反時計回りで
パシャリ
やっぱり、この角度がイイ

激写
さらにいいアングルを求めて旋回
池に映った感じもイイ

同じようなの、何枚とるんやっ⁉
そんなの、気のすむまでだよ!
橋を渡って、時計回りで戻る

ここは広間
明日の朝食はここで食べる。楽しみ。

これは広間の角
(ちなみに正面手前に見えるテーブルが
明日の朝食の我の席だった😆)


以上、薄暮の散策終わり。

もうすぐ18時。部屋に戻って夕食だ。
夕食は部屋食なのだ。

 部屋の戻ると、ほどなくお兄さんが部屋までサーブに来てくれて、早速夕食開始。

基本会席料理

「お品書きないの?」って聞いたら「口頭で説明するのでお品書きはない」んだそう。まぁ、料理は見ての通りだよ。



ローカル発泡酒なる「楠木正成エール」
をいただいた

杉の成分が入っている

確かにそんな感じの独特な風味
悪くない(お土産に買ったくらいだ)


次に地酒「金剛雪」 にごり酒だ

にごり酒って、甘いのが多い印象だが
これは甘くない。
ちょうど食前酒がこれだったので、
躊躇なくオーダー


陶板焼き

「これ何だろう?」忘れた

他にも料理あったハズだけど
お品書きないし、
写真撮ってないので不明。
そして、いつの間にかデザート

右のグラスは芋焼酎(多分)


完食。満腹。満足。
ごちそうさまでした。

 しばらくすると、若いお兄さんとおねえさんの二人組が夕食の片付けと布団を敷きに来てくれた。部屋食だったから、広縁に退避して、座卓を隅に寄せて布団を敷いてもらった。

布団敷いてもらってこんな感じ
 
 時刻は19時半。まだ大分早い。とりあえずもう一度風呂だ。(詳細省略)風呂は今回も独泉だった。

 風呂から部屋の前(廊下)に戻ってきて、大事なことを思い出した。廊下のコレ(下の写真)だ。

部屋の角窓の装飾と意匠を合わせてるのかも
隠し装飾になっていて、両脇の障子で開閉可

 東雲の次の間の障子の廊下側には、こんな丸窓の装飾が隠れているのだ。通常は廊下側の障子を閉めて丸窓を隠しているから、知らなければ気づかない。


障子を閉めて、丸窓を隠して部屋に入る。

こっちから見ると、なんか雑然(恥)

 この後はiPadでnote読んだり、ゲームしていると既に21時半。朝早かったから眠くなってきた。道に迷ったりで疲労もある(笑)。

 ということで、布団に横になる。すると障子欄間が目に入り何故か気になる。起き上がって、広縁側と次の間側の欄間を開閉して記録撮影。えーッ、また撮るの⁉ って感じだが、性分だからシャアナイ。



 撮り終えて障子・襖を全部閉めて、これで気掛かりなし。ちなみに暖房はエアコン1台のみ。でも広縁のカーテン閉めて、襖と障子も閉めれば、完全6畳ひと間。充分暖かだ。iPadでアニメ見ながら、いい夢見れそう。おやすみなさい。


つづく


 **   **   **


 南天苑。外観はさすが辰野建築。部屋は東雲で六歌仙じゃなかったけど、宿の「忖度⁉」で、むしろ期待以上。迷い道の疲れも取り返したかもだね💕 いい夢みれそうだね、ご主人💓


👀画像の引用は本文記載の通り
その他の画像は滞在時に撮影





温泉ひとりたび日記 第13回 「天見温泉 南天苑」2026.2. 19 - 20 (中編)

  こんにちは。ナッツとココです。  今回の旅は 歴宿(文化財の宿)の2連泊 。大阪 河内長野の天見温泉「南天苑」と岐阜養老の「千歳楼」。    この第13回では一泊目の「南天苑」のお話をしてる。前編では宿に行く前に寄った富田林寺内町散策とそこに行くまでの「迷い道クネクネ~♬」の...