窓から見える中庭も照明でいい感じの色合いだ。ほろ酔いで、このまま部屋に戻るのももったいないような気分。確かリラクゼーションルームとかいうマッサージチェアのある部屋があったはず。寄っていこう。
なんのことはない、食事処の廊下を出るとすぐ向かいの部屋がそれだった。結構広い。天井も高く、太い梁が見えるようになっている。フロアの暖色系のスタンド照明だけなので影が濃く、幻想的な空間を演出している。
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マッサージチェアは窓に向けて3台並んでいる。これはもう揉んでもらうしかないっしょ。リクライニングを最大にしてマッサージ開始。シートのホールド感は絶妙。膝の曲げ伸ばしまでやってくれる。これはいい。マッサージが終わったところで製造会社を確認すると、やっぱり「フジ医療器」。多分最新型だ。自宅にあるのは20年近く使っている。まだ故障はしていないが1台ほしくなってしまった。帰ったら奥方と相談だ。

時刻は20時半ちょっと前。部屋に戻る途中にある「蔵」というお土産処を覗いてみる。お菓子やら民芸品やらがいろいろ並んでいる。
つい「G7のお土産」とか「皇室お買い求め」とかのポップにつられて買ってしまった。
昼にはお酒と味噌煎餅も買っている。
今回も戦利品が沢山だ。これで帰ってからもしばらくは楽しめる。
部屋に戻って、窓を開け、広縁の椅子に座って外を眺める。向かいの寺の釣鐘堂がライトアップされて緑色に浮かび上がっている。
静かだ。荒城川のせせらぎの音も聞こえる。昼間は暑いくらいだったが、さすがに夜は肌寒い。ちょっと早いが、明日に備えて就寝。おやすみなさい。
翌朝目覚めたのは5時半。布団を抜けて、窓を開ける。今日もいい天気。朝の空気が清々しい。まだ早朝で静か。釣鐘堂も荒城川も変わらず心癒される風景と音だ。
スッキリ目が覚めたところで朝風呂だ。朝食は8時30分なので時間はたっぷりある。

浴衣を着なおして、せせらぎの湯へGO。今朝は昨日と暖簾が左右入れ違いで出ている。
青い暖簾をくぐって浴室へ。
予想に反して先客が一人いた。しゃあない。
浴室内の造作は昨日入った風呂と似た感じ。シンメトリーに近い。
ただ、こっちの浴槽は部分的に曲線を使っている。ちょうどジャグジーのところが曲線で背もたれするのに塩梅がいい。
露天も昨日の湯とは趣が異なっているようだ。先客は釜風呂に入っている。昨日は故障で入れなかったので是非入りたい。釜風呂は一人用だ。先客が出たら移動しようと思っていたところ、次の客が来てしまった。若い兄ちゃんだ。しかも、早々に露天に行ったのである。由々しき事態だ。タイミングが悪いと先手をとられかねない。

ジャグジーに身を任せながらも、釜風呂の客の動向に注意し、素早く動けるようスタンバイ。そしてその時は来た。釜風呂客が出る姿勢になるのを見て速攻で移動。ほぼ入れ替わりで釜風呂ゲット。やはり露天客も入りたかった素振り。「順番だよ、お兄ちゃん」と心の中でつぶやいた。しばし釜風呂に溶け込んでいたが、そろそろ茹ってきた。釜から出ると、案の定、露天の兄ちゃんも素早く釜の人となった。「よかったね、お兄ちゃん。早く出てやったよ。」と心の中でつぶやいた。
折角なので露天にも浸かる。既に茹で上がっているので半身浴。冷たい空気がちょうどいい。身体が少し冷めたら肩まで浸かりなおし。ボケーッとしている間に、先客もお兄ちゃんも、もう姿がない。自分もそろそろ上がろうか。お腹も減ってきた。
館内をスマホでパシャパシャしながら部屋に向かう。館内はまだ静寂。旧玄関の古時計がカチッ、カチッと時を刻む音がよく聞こえる。

朝食は8時半。時間になったら夕食と同じ部屋に行くことになっている。電話でのお呼びはないそう。念のためアラームをセットしてから、お土産を並べて記念撮影。その後はiPadでゲームに集中。概ね一区切りついたところでアラーム鳴動。朝食に向かう。フロント前に頼みの仲居さんはいない。しゃあない。自力で行ってみるか。確かここを入った先、などと見当をつけたが、どうも違うらしい。やはり迷路だ。フロントに戻ると仲居さんがいた。照れ笑いしながら部屋まで案内をお願いした。
朝食の献立は棒葉味噌やアユの開きのほか、少量ずつ数品。味噌やアユは炙って熱いところを食べられる。ご飯は「飛騨ひとめぼれ」の釜炊きを丸ごとだ。巷のコメ不足の中、贅沢で恐縮。今回も食べ過ぎてしまった。さすがにご飯は食べきれる量じゃなかったけど。しゃあない。昼飯抜きだ。
朝食後は大広間棟の2階の大広間を見させてもらうことになっている。昨夜の夕食時に大々女将にお願いしたところ、それなら誰かに案内させると言ってくれた。ちなみに土蔵は公開していないのでダメだそう。残念。
見学の旨をフロントに告げると、「後から行きますので先に2階に上がって見ていてください。」とのこと。ほどなく案内役の人が来てくれた。天井板で見えないが、その上には太くて長い弓状の梁があり、継ぎ目のない一本丸太との組み合わせで、柱のない大空間を作っているそう。それが評価されて文化財になっていることなどを説明してくれた。
以上でで飛騨古川・八ツ三館の予定はすべて完遂。チェックアウトして帰るのみだ。
帰りの荷物が多くなったので、1回だけエレベーター利用して1階へ。ちなみにエレベーターの床も畳(敷物)。

フロントで支払いを済ます。車は玄関に回してくれるそう。ありがたい。それまで宿の外回りを少しパシャリ。若女将(多分)っぽい着物姿の人も出て来てくれた。愛車の流星号が到着してカーゴスペースのクーラーボックスに要冷蔵のお酒などを詰め込む。「たくさん買いましたね」と声を掛けられ照れ笑い。若女将に見送られて出発。
車を動かしてタイヤの空気圧エラーのことを思い出した。燃料も給油が必要だ。高速に乗る前にGSで見てもらおう。しばらく走ると前方にGSが見えた。とりあえず給油してもらいながら、空気圧のチェックをお願いする。てっきり空気圧が低くなったとばかり思いこんでいたが、逆に四輪とも適正数値が2.5に対して2.8前後と高くなっていたのだ。「2.6くらいにしておきましょう」との提案に頷くのみ。
やっぱり高速道路の長時間運転は神経が磨り減る。特に帰り道は、集中力が1時間持たない。北陸道などは片側1車線の区間も多いので、ゆっくり走ろうとしても早い車に後ろにつかれるとプレッシャーもかかる。今回は特にそうだった。今後はさらに早めに休憩を取るようにしないとヤバそうだ。