* * * * * *
温泉ひとり旅
「草津温泉 山本館本店」
今回の行先を決めたのは6月。8月の暑い季節は少しでも涼し気なところにしたいと考えていたところ、「草津温泉は標高が高く涼しい。真夏でも30度以上になることは稀」というような記事を何かで読んだ。
「山本館」は草津温泉に1軒しかない文化財の温泉宿ということで既に行きたい宿リストには入れていた。けど、リニューアルしたばかりで文化財的な趣は期待できなそうな口コミが散見されたため優先順位は低かった。しかし、涼しいという条件クリアで一気にランクアップした次第。
いわずもがなだけど草津温泉は泉質優良で「名湯百選(温泉療法医選)」だし、温泉人気ランキング(観光新聞)でも万年一位になるほどの名湯。
ちなみに草津温泉には過去に一回、スキーに行ったことがあるだけ。スキー場の宿に泊まって、その宿の温泉に入った朧げな記憶がある程度。どの顔で温泉好きと言っているのかってレベル。ならば、行くしかない。いざ草津だぁー。
草津温泉までのルートはgoogle mapの検索結果で関越道経由または中央道の長坂ICで高速を下りて八千穂高原経由かの二択。
ちょっと悩んだが、最近は中部横断道(長野区間)が八千穂高原ICから佐久北ICまで使えるようになって、時間も短縮され、関越道より早いくらいだ。距離的には迂回しない分圧倒的に近い。ということで八千穂高原ルート(250km・4時間20分)に決定。
長坂ICから八千穂までは下道だが昔スキーでよく通った道。特に小海リエックスには家族で毎年のように泊りで行っていた。もう20年以上前のこと。懐かしい。
当日は洗濯を早めに済まし、8時半に車に乗ってナビを設定。ところがナビが古くて関越道経由の推奨ルートしか出てこない。まあ、八千穂高原までは道は知っているからいいかっ。ってことでナビ様にはお休みいただき我が家を出発。日差しが強くて今日も朝から暑い。すでに愛車「流星号」の寒暖計は32度だ。

途中の道の駅で休憩をしながら長坂ICまでは順調。ところが高速を下りたところで曲がるべき道を間違えてしまった。早々に気づいてよかったけど。やっぱり記憶を過信するのはリスクありそう。
目に入ったコンビニでトイレ休憩しつつ、再度ナビを設定してみたが依然関越道経由を推奨している。頑固者だ。ならば、目的地を八千穂高原に設定変更して再出発。
野辺山、清里など懐かしい八ヶ岳のスキー場案内看板を横目にひたすら八千穂へ。小海町に入ったあたりで「八千穂高原IC」の案内表示あり。一安心。IC手前には同名の道の駅もある。ちょうど12時。寄っていこう。
この道の駅は中部横断道の延伸に合わせてできた新しい施設らしい。冷房が効いているからメニューは迷わず「かき揚蕎麦」の熱いやつを注文。かき揚げサクサク、蕎麦も美味しい。ごちそうさまでした。
昼休憩終わり。車に戻ってナビの目的地を草津温泉に再設定。ナビには中部横断道の新情報が入ってないけど、ここから佐久北ICまでは分岐がないから問題なし。佐久北で高速を下りて軽井沢経由で、残り2時間程度。14時到着の見込みだ。

さすが高速道路、早い早い。あっと言う間に佐久北IC。以降の草津までの下道はナビ様に頑張ってもらう。
ナビの画面には「日本ロマンティック街道」とほぼずっと表示。この道で大丈夫かっていうような区間も結構あったけど、ロマンティックなんて素敵な二つ名がついている道なら多分OKだ。多分。
軽井沢あたりから草津方面への案内表示が出始めた。よかったー。まだ先があるけど、ナビ様ありがとう。引き続きよろしく。

そこから山越え、谷越え。途中で気温をみたら26度。これなら草津も大分涼しいに違いない。
「道の駅 草津運動茶屋公園」に着いたのは13時50分。山道でキンチョーして運転したせいか2時間近く休憩なしで来てしまった。もう少しこまめに休憩とらないといけない。反省だ。
車から降りるとさすがに足や腕に疲れを自覚。トイレ行って、顔を洗って、ストレッチ。あと少しだ。
数分走って草津温泉街へ進入。湯畑の周りには結構な人。夏休みで学生が目立つ。周回道路みたいな道をぐるっと回りこんで西の河原通りを示す柱が二本。ありました。ネットで見た通りの「山本館」。

存在感がなかなか立派。宿に一番近い駐車場はこの通りを100mくらい進んだところにある。
この道路は狭いうえに、湯畑から西の河原公園までの目抜き通りだから観光客が多い。
超徐行。歩行者が気づいて道を開けてくれるまで数メートル進んでは一時停車の繰り返し。長い100メートルだ。
駐車場も通り沿い。余裕のない2台分のスペース。歩行者に注意しながらバックで難儀。結構ヘトヘト。

荷物を持って山本館へ。気温は暑くはないといった程度。期待していたほどの涼しさではないが全国的に猛暑日とか言ってる中でこの気温で収まっているのはやっぱりすごい。
存在感のある唐破風の玄関に入って声をかけると、年配の白髪のオジサンが出て来た。とりあえず名前を記入してほしいとのこと。記入しながら荷物預かりを依頼。すると奥からもう一人現れて、部屋は用意できているのでこのままチェックインできるそう。仕切っているところをみると多分この宿の主人だ。風呂もOKとのこと。ラッキー。
本来のチェックイン時間は15時。まだ1時間近くある。もうクタクタだからアーリーチェックインさせてくれるのはチョー感謝。部屋で一休みしたら、温泉だぁー。
ちなみに後から宿のサイトに出ていた写真を見ると、あの二人は大旦那と若旦那だったようだ。
若旦那の先導でフロント前の階段を上がって2階へ。部屋は「つつじ」。リニューアルしたばかりで明るく綺麗だがその分、文化財的な趣はほぼない。実は隣の角部屋の可能性もあったのでこっそり期待していた。宿のサイトで見た限りそっちの方がちょっと広くて内装も好み。事前に覚悟はしていたがやはり残念。
「つつじ」はこの宿で一番小さな部屋。8畳と広縁、床の間、トイレ洗面付きで一人で使うには十分。と言いたいところだが、すでに布団が敷かれている。この広さの部屋に最初から布団があるとさすがに狭い。民宿じゃないんだから。これならむしろセルフの方がいいと思ったりしてしまう。人件費対策なんだろうけど。ダブルで残念。まぁ、おひとり様向けの部屋お任せお得プランだから、不満を言っていてもしゃあない。中にはこういう方がいいという人もいるんだろうし。
次の機会があれば「ふたりたび」でリベンジだ。”あれば”だけど。
まずは浴衣に着替えて温泉だ。館内探索をしながら地下1階にある風呂に向かう。
フロント前の階段 階段を上がった正面の装飾
2階 廊下 床のライトで段差注意喚起
立派な時計だけど15分も進んでいる
廊下の装飾品
3階 廊下はこんな感じ
この宿にはフロント前のほかに、湯畑側にも階段がある。風呂に行くにはそっちが便利。
こっちの階段の床板は経年感が出ているし、軋む音もグッドだ。木造の宿に泊まると、毎度のことだが、エレベーターがないことが多く当然階段。それはそれでよいのだが、浴衣で階段はちょっと歩きにくいのが難点。
この宿の風呂は草津温泉の中でも特別と言われる「白旗源泉」の湯。「若鹿(わか)の湯」と称する内風呂が男女別に一つずつ。露天はない。
地下1階 風呂前に到着
脱衣場に入ると照明が自動点灯。先客はいない。独泉ってことだ。
浴室がガラス越しに見える


湯槽は総檜。床板や壁も板張り。照明が点いていなくてちょっと薄暗いけど高窓からの自然光でむしろ雰囲気があっていい。
写真だと小さく見えるが、
大人5,6人は身体を伸ばして入れる
湯船は白濁。湯温を確認しようと手を入れたが、なるほど草津の湯、ちょっと熱い。さきにシャワーで慣らした方がよさそう。
ちなみに洗い場は3つで椅子は石で不動だ。壁の絵と詩はタイル貼り。
最初は熱さで肌がピリピリって感じだが、やがてジーンときて慣れてくると入っていられる。この熱さだとさすがのハマショーも2,3曲が限界。シャワーで身体をクールダウンして、再度浸水。

しばらくすると誰かが来た様子。浴室を覗き込んだ後に照明が点いた。どうやら日帰り入浴常連のお兄さん。「そっちに照明のスイッチがあったんですね」などと照れ隠しにあいさつ。お兄さんも「社長、ちゃんと説明しないからなー」などと返事をしてくれた。知り合いらしい。
さて、そろそろ身体が茹ってきた。草津の湯は熱い分、茹で上がるのが早い。長湯は禁物らしい。再度、冷水シャワー。それでも温泉効果でなかなか火照が冷めない。湯上り後の脱衣場に扇風機は必須だと思うが、ここにはない。しゃあない。早く部屋に戻って扇風機で涼みたい。
部屋の広縁の椅子に座って、窓を全開。扇風機ON。涼しい。さすが草津。湯上り後も扇風機があれば快適だ。これなら冷房(エアコン)なしで過ごせそう。
通りを歩く観光客の話し声が良く聞こえる。部屋の向かいは一井ホテル。一階は土産物売り場になっていて、中のお酒売り場が見える(昼間の写真撮り忘れた。夜景で恐縮)。
とりあえずビールが飲みたい。宿の冷蔵庫には女将手作りの水ようかんが入っているだけ。後から食べよう。今回はとなりにセブンがあるので来る途中ではビールを調達してこなかった。早速、宿の草履を借りて買い出し。セブンの棚には草津ビールはなかったが、軽井沢ビールがあったのでゲット。ちなみにセブンの外観は温泉街に合わせて渋くていい感じ。ついでに一井のお酒売り場にも寄って「KAWABA IPA」(群馬県川場村のビールらしい)ほかを調達。

部屋に戻って、扇風機のそよ風に当たりながら飲むビールは美味い。時折窓から通りを見ながら、もう少し涼しくなったら湯畑に散策に出ようと考える。
この部屋は湯畑に面してはいないが、窓から少し顔を外に出せば湯畑の一部が臨める。
2階と3階の廊下の先の非常口のようなテラスに出れば湯畑全体が俯瞰できるそうだ。
ならば、とりあえず写メでブーフーウーのメンバーと家族に報告(自慢)してやろう。
2階のテラスからの眺めはなるほどの景色。湯畑はスマホでは全体を写せないくらいに広い。部屋の広縁に座りなおして写メ。ビールを飲みながらiPadで湯畑の情報を少し検索。
そうこうしているうちに時刻は16時半。日も傾き大分涼しくなってきた。風呂とビールで身体も整った。そろそろ散策行こうっていう気分になってきた。
玄関から通りに出て振り返る。湯畑に面し、西の河原通り入り口に建つ木造3階建ての山本館の建物はよく目立つ。文化庁データベースの「山本館」の解説には「草津温泉のランドマーク」とも記されているくらいだ。
湯畑周辺の建物はリニューアルした風なものが多く、いわゆる鄙びた感は全くない。そうした中、文化財とは言え山本館も歩調を合わせる必要があったことは想像に難くない。
2階の左から2つ目が泊まった部屋
湯畑には観光客は多いが混雑というほどではない。騒がしくもなく、適度な賑わいだ。学校は夏休みだから学生っぽい若者が目につく。浴衣で歩くカップルも結構いる。いいことだ。湯畑を囲むように若者受けしそうな土産屋や飲食店が並んでいて、人気1番の温泉地というのも頷ける。
白旗源泉 山本館の湯もここから
山門から湯畑を臨む
概ね湯畑をグルリとしたところでガス欠気味。アルコール摂取が必要だ。時刻は17時。夕食は18時だから部屋に戻るにはいいころ合い。夕食まで広縁でゲームやりながらビールをチビリチビリ。
スマホのアラームが18時ちょっと前に鳴動。食事は1階の食堂。窓際の2卓はそれぞれ二人連れ優先席。おひとり様は入口そばにポツン。ちょっと疎外感。となりの個室みたいな部屋では数人のグループ客がすでに宴会を始めている。しゃあない。
気を取り直して料理と酒だ。料理はご覧の通り文句なし。量も適度で美味い。
ビールは「湯上り涼風」という名称。ラベルが草津の絵だから草津ビールだと思ったら製造は一井で買ったのと同じ川場村の産だった。500ミリで700円くらいだったからかなりリーズナブル。
ちなみに注文の際、メニューに「地ビール」とだけ書かれていたので、仲居さんに尋ねたところ、「地ビールなんですから、群馬のビールってことですよ」との返事。当方としては銘柄や種類を聞きたかったのだが理解してもらえず。ちょっとトホホ。
その後は地酒。こっちはメニューに銘柄や味の講釈が書かれている。ビールはなぜに同じように書いてくれないのかな。
それはさておき、最初は「水芭蕉」の純米大吟醸。これも川場村の産だ。
続いて、銘柄は同じく「水芭蕉」だが今度は純米吟醸。こっちの方が甘みが抑えられていて好みかも。牛のしゃぶしゃぶにもよく合う。
閉めのご飯とお椀。お酒は残高ゼロ。トウモロコシご飯がほんのり甘くて美味しい。
デザートが3種類も。完食。満足。ごちそうさまでした。
自分の席から見ると窓際の席(食べ終わって既に離席)はこんな感じ。湯畑の夜景が臨める。くどいけど待遇の差はしゃあない。
食事後、2階のテラスからの湯畑の夜景を臨む。素敵。
ついでに通りに出て山本館の夜景もパシャリ。
部屋に戻って一休み。お腹が落ち着いたところで風呂へ。本当はお酒を飲んだら、熱いお風呂は厳禁だ。熱くなくても入浴は控えるべきなんだけどね。でもそんなこと言ってたら、お酒飲めないし、風呂にも入れない。旅の醍醐味が激減してしまう。要は、身体と対話しながら、ゆっくり行動だ。
ということで、風呂場に行ってシャワーでじっくりお湯慣らし。ちなみに独泉。湯船に足からそーっと進水。ジッとしていてもやっぱり熱くてシビレル。ハマショー1,2曲で自制。冷水シャワーを浴びて本日の活動終了。 部屋に戻って扇風機。最強ボタンON。一気に爽やか。時刻は21時半。

ちょっと早いが横になる。扇風機は弱。スマホのアラームは5時半にセット。iPadでアニメ配信見ながらこれでいつ寝落ちしても大丈夫。消灯。
翌朝目が覚めたのは5時ちょっと過ぎ。アラームが鳴る前。睡眠アプリを確認すると入眠は22時23分で起床が5時9分。スコア81点。平均点で合格だ。アニメ結構見ていたから入眠まで1時間近くかかっている。気分よく入眠できているから問題なし。
窓から外を見ると青空。予報では曇り一時雨となっている。降らないうちに西の河原公園に散歩だ。
早朝で通りにも観光客はいない。犬の散歩の人がちらほら。公園までは歩いて10分ほど。
途中に鶴太郎の美術館があったりする。よく整備された遊歩道が続く。
川になって流れているのが全部お湯。湯畑もそうだけど、すごい量だ。
この場所では左は湯だけど右は普通の沢。
Y字で合流している。
風景と音は涼し気 だけど温泉
時間が早く、露天風呂は営業前。人の少ないこの時間に入れたら気分よさそう。今回はもともと入る予定はなかったけど、次回があればって感じ。
日差しが強くなってきた。宿に戻って、一風呂浴びて朝食だ。
この宿で三度目の入浴。今回も独泉。普段履かない草履で歩いたから足の親指と人差し指の股がヒリヒリだ。熱い湯でさらなるシビレ。これも旅の思い出だ。
朝食は8時半。それまで扇風機の風に当たりながらボケー。LINEで通勤途中のHMちゃんから既に気温36度なんていう報告。お勤めごくろうさま。

そろそろ朝食の時間。夕食と同じ場所。お給仕してくれるのは女将さん。食べ始めてから気付いてパシャリ。赤飯と白米が両方並べてくれた。白米のみお代わり可。一杯目の白米と赤飯、おかずは美味しかった。けどお代わりの白米は炊き立てではなかったかも。でも、もちろん完食。ごちそうさまでした。

今回の草津温泉滞在は以上。9時半にチェックアウト。なんだかんだと不満も書いてしまったが「山本館」、よかった。お世話になりました。帰りは来た道をそのまま戻るルート。安全運転で帰宅時間は15時。流星号の寒暖計はなんと40度超え。ということは「草津温泉は涼しい」ではなくて「
かなり涼しい」が正解だ。夏のリピ、可能性高くなった感じ。
ちなみにお土産は定番の「温泉まんじゅう」と「かりんとう饅頭」。かりんとう饅頭は温泉まんじゅうを揚げたもの。普通に美味しい。(笑)
* * * * * *
今回はなんと一回読み切りなんだね。かなり長いけど。よく頑張りました💓
宿の部屋はご主人好みではなかったけど、リニューアルしたばかりで綺麗だったし、結構よかったんじゃないかな。部屋の趣についてはあらかじめ分かっていたことなんだしね。
他にもちっちゃな不満があるみたいだけど、宿のロケーションや温泉、料理が良かったことを考慮すれば、むしろトータルでは(特にコスパ的に)満足すべきなんじゃないかな。気持ちはわかるけどね、ご主人💖
すべてに満足したいなら、ケチっちゃダメって教訓だね💗